Vanta × SOC2取得_統制記述書作成編
~ 実態に即した開示とセキュリティのバランスをどう取るか ~
「Vanta × SOC2取得:内部統制整備/エビデンス収集編」でも触れたとおり、Vantaでは各トラストサービス基準に対応する形で、一般的なデフォルトのコントロール(内部統制項目)があらかじめ設定されています。ユーザー企業は、これらのコントロールに対し、エビデンスの収集やAutomated Test(自動テスト)による確認を通じて、要件を満たしていることを証明していく流れになります。
このVanta上のコントロール内容は、そのままSOC2レポートに引用可能な設計になっており、記述書作成の大幅な効率化に寄与するのが大きな特徴です。
■ なぜ「そのまま」ではいけないのか?
Vantaのデフォルトコントロールは汎用的に設計されており、多くの場合、表現が抽象的でふんわりとした内容になっています。これをそのままSOC2報告書に掲載してしまうと、他社と全く同じような記述になる可能性が高く、サービス利用者(委託者)にとっては不安を与える要因になりかねません。
思い出していただきたいのは、SOC2取得の本来の目的です。
利用者は、受託会社の情報セキュリティ体制の実態を確認し、安心してサービスを利用するためにSOC2レポートを読みます。その際、他社と全く同じ抽象的な文言が並んでいたら、「本当にこの会社は大丈夫なのか?」という疑念を抱かせる結果となってしまいます。
■ ポイントは「実態に即したカスタマイズ」
Vantaのデフォルトコントロールは汎用的に設計されており、多くの場合、表現が抽象的でふんわりとした内容になっています。これをそのままSOC2報告書に掲載してしまうと、他社と全く同じような記述になる可能性が高く、サービス利用者(委託者)にとっては不安を与える要因になりかねません。
思い出していただきたいのは、SOC2取得の本来の目的です。
利用者は、受託会社の情報セキュリティ体制の実態を確認し、安心してサービスを利用するためにSOC2レポートを読みます。その際、他社と全く同じ抽象的な文言が並んでいたら、「本当にこの会社は大丈夫なのか?」という疑念を抱かせる結果となってしまいます。
■ ポイントは「実態に即したカスタマイズ」
信頼性のあるSOC2レポートを作成するうえでの鍵は、各コントロールに関する記述を、自社の実態に即した形で微調整することです。
■ ただし「開示しすぎ」にも注意が必要
一方で、注意すべき点もあります。
あまりに詳細な情報を開示しすぎると、悪意のある第三者に内部統制の仕組みを逆手に取られるリスクが高まる可能性があるという点です。
たとえば、「WAFのルール詳細」や「社内システムの構成図」などを無防備に公開することは、セキュリティ上のリスクを招きかねません。記述内容の粒度や範囲には、情報セキュリティと透明性のバランス感覚が求められます。
■ バランスを取るには、パートナー選びが鍵
このように、SOC2レポートにおける統制記述は「抽象すぎてもダメ」「詳細すぎてもリスクがある」という難しいバランスを求められる領域です。だからこそ、実績と知見を有し、相談しやすく、コミュニケーションの取りやすい監査法人とタッグを組むことが非常に重要です。
単に「レポートが出せればいい」ではなく、サービス利用者にとって有意義で、かつ安全性にも配慮された内容を記載するという視点を持ちましょう。
■ まとめ
Vantaを活用することで、統制記述書の作成は効率的に進めることができます。しかし、それをただ「そのまま使う」のではなく、自社の実態を適切に反映させ、ユーザーに安心感を与える内容に仕上げることが不可欠です。
そのためには以下の2点が重要です:
- 記載内容は実態に即してカスタマイズする
- 開示レベルはセキュリティリスクと透明性のバランスで調整する
この作業を丁寧に進めるためにも、信頼できる監査法人と協力しながら、SOC2取得のプロセスを進めることが、最終的に「意味のあるSOC2レポート」を作るための近道となるでしょう。